宮崎学園短期大学

学長ブログ

笑顔の交流がある暮らし

2017.04.03

 本学に勤めて33年になる。名古屋で生まれ、学生時代を東京で10年過ごし、縁もゆかりもない宮崎に就職した。最初の頃は職場以外に知り合いのない生活で、故郷を恋しく感じたこともあったが、今は宮崎の暮らしに満足している。日本のひなた、気候も穏やかで暖かい。人々ものんびりして過ごしやすい。物価も安く、おいしい野菜、お肉、魚がある。何よりきれいな空気、豊かな自然がある。欲しいものがなければ、ネットで取り寄せられる時代だ。この有り難い宮崎を盛り立てていきたいと思う。

 時代は少子高齢化、人口減少で町や村がすたれていく危機にある。大都市に人口が集中し、地方は若者が減少し、子どもの減少にも拍車がかかる。地方創生が言われる所以である。若者の流出ポイントは進学、就職にある。宮崎県内の4大進学者の3/4が県外に出る。短大進学者の1/2が県外に出る。県外に出なければ学べないこともあるだろう。しかし県外に出た若者のどれだけが戻ってくれるのか。県外に進学すれば、学費以外にかなりの生活費を負担しなければならない。そのうえ戻ってくれないのであれば、かなりの損失なのではないか。

  親は家計をやりくりして子どもの教育費を捻出し、子どもに幸多かれと祈る。しかし子どもの幸せとは何なのか。宮崎には就職先が無いと言われる。都会の方が給料が高いと言われる。本当にそうか。

 本学の就職指導課には求人票が溢れている。保育士の求人倍率は3倍で、県内の保育園からは学生が求人に応募しないことへの苦情がひっきりなしだ。学生が応募しないのではない。求人に対して学生の絶対数が少ないのである。県外に流出している訳でも、他職種へ就職している訳でも無い。

 保育士不足で、悪いと言われた待遇面の改善も進む。そして国の後押しもあり、県は保育士就学資金貸付事業に乗り出した。採用枠があるが、県内に就職予定であれば2年間で160万円が借りられ、5年間保育士として就職すれば返還免除になる。

 現代ビジネス科では一般企業等への就職を目指す。宮崎の初任給は16万円、東京では18万円、確かに大都会の方が給料は良い。しかし、収入から住居費など生活費を差し引いた残りはどちらが多いか。県の資料では、宮崎の物価の安さは全国第1位だそうである。宮崎銀行の資料では、マイホームを建てるのに宮崎では1800万円かかるが、東京では5300万円となる。マンション購入も同程度である。

  しかし人としての幸せは、所有物や財産の多寡ではない。人から愛され、人から褒められ、人の役に立ち、人から必要とされることにあると思う。

  都会では匿名の多くの人の中で暮らす。地方では顔の見える関係で暮らすことが可能だ。自分への眼差しから自分の仕事への責任を感じ、また相手の反応から貢献の喜びも感じる。何より笑顔の交流がある。顔の見える関係の延長上に我が町、私たちの暮らしがある。

  都会には、田舎にない刺激がある。様々な刺激に囲まれて暮らすことへの憧れも分かる。しかし、地元で暮らすことの豊かさにも気付かせたい。

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