宮崎学園短期大学

学長ブログ

誘惑と自制

2017.10.05

 つい食べ過ぎてしまう。将来に良くないことが分かっていても、目の前の誘惑に溺れてしまう。ギャンブル、カード破産、深酒・過食、生活習慣病。いずれも自滅の選択である。これらのことが経済学の研究対象になってきた。門外漢であるが、心理学と経済学がいつの間にか接近している。人間は合理的な選択をするという経済学の前提を覆す上述の事例が、「双曲割引」というモデルで説明できると言う(池田新介『自滅する選択』)。要するに、目の前の価値を将来の価値より過大に評価して選んでしまう。

 前号「やめられない、とまらない」では、哲学者カントに学び、正しい判断に向けて怠惰や臆病と戦うことが大切と述べた。

今回学んだ経済学者の知恵は、以下の通り。
①誘惑を防ぐ環境作り。例えばスマホができない環境で仕事する。お菓子は買い置きしない。カードを持ち歩かず小銭しか持たない、など。
②誘惑をターゲットとしてマイルールを定める。「連続ドラマは初回を見ない」「食事をしたら直ぐ歯磨きをする」など。
③締め切り間際になると逃げたくなる自分を予め織り込んだ計画を立てる。例えば普段から急ぎではなくても重要な仕事は始めるなど。
④長期計画は、目先のことで先送りされる危険が高いので、短期計画に分割する。例えば10年でいくら貯金すると計画するより、毎月いくら貯金するというように。

  250万年に及ぶ長い人類の歴史から言えば、人類はずっと欠乏に耐えてきた。欲望を満たすものが溢れ出したのは、ほんの一瞬前のできごとなのである。だから、人類の本能は先のことより目の前の魅力に飛びつくようにできている。それが現代では自滅に導く。

  学校生活にある提出期限は、事務的なことのように思えるが、実は人生に大切な自制(高度な認知能力と強固な意志力)を訓練する機会なのである。失敗から学び、人生の糧とさせたい。

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