宮崎学園短期大学

学長ブログ

ウィスキー

2015.05.15

 廊下で学生がすれ違い様に「ウイスキー」とつぶやいた。「ウイスキー」と返したが、学生は過ぎ去った後であった。別に学生は私の晩酌を揶揄したかったのではない。

 「教育原理」の授業では、教育を双方向のコミュニケーションとして組み立てることを学んでいる。そのファースト・レッスンが「スマイル・トレーニング」で、相手にスマイルを送ることを練習する。そのとき、口角を上げる合い言葉が「ウイスキー」なのである。

 大人は、コミュニケーションについて言葉と言葉のやりとりに視点を置きがちである。しかし大人でも言語的コミュニケーションはほんの一部で、大部分はノン・バーバルコミュニケーション(非言語的コミュニケーション)なのである。ましてや子ども相手では、ノン・バーバルの達人を目指さなければならない。目と目を合わせて微笑み合うことから、教育原理は始まるのだ。人類の歴史と共に、言葉が普及する以前から、人類共通の言語はボディ・ランゲージである。表情・視線・声・仕草・姿勢を発信し、受信し合う。

 笑顔は時に言葉より、相手の心に届く。不安なときに相手の笑顔でどれだけ救われただろう。

 本学の建学の精神は「礼節・勤労」である。礼節とは相手への敬意を表すことである。互いに敬意のないところに人間関係は成立しない。したがって、社会人にまず必要なのは相手に敬意を表す礼節を身につけることだ。

 「礼節は武器である」という人がいる。礼節をしっかり身につけている人は人間関係を築きやすく、有利になるということであろう。

 近年、日本と韓国、中国の間がとげとげしくなっている。前回安倍総理が習主席と会ったときは、目も合わせてくれなかったと報道された。その中国で慕われる日本人がいる。昨年亡くなった俳優の高倉健さんだ。それは私は、健さんがひたすら礼節と勤労の人だったからではないかと思っている。役者として、演技にひたすら徹し、人を喜ばすことを追求した。そして徹底して礼節を大切にした。そんな健さんのことを考えると、礼節は武器を不要にする平和の手段だと思える。

  本学の朝は、学生も教職員もさわやかな笑顔の挨拶で始まる。この挨拶のありがたみを肌身にしみこませて、社会へ送り出したい。誰にも温かな挨拶を送れる人になって、一隅を照らす人になって欲しい。

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